東京赤坂キャンパス

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6月26日(火)東京赤坂キャンパス開設記念講演会を開催いたしました

2018.06.26.01.jpg  国際医療福祉大学・国際医療福祉大学大学院は6月26日、今年4月に東京赤坂キャンパスが開設したことを記念して、「これからの医療と介護を考える~報酬同時改定の評価と人材確保を中心に~」をテーマに講演会を開きました。主催者を代表して大友邦学長が挨拶し、「本講演会が、これからの日本の医療と介護の近未来像に関する情報と認識を共有する機会になることを願っています」と述べ、国際医療福祉大学大学院の中村秀一副大学院長の司会で活発な意見が交わされました。会場となった東京赤坂キャンパス講堂には、800人を超える医療福祉関係者や学生らが熱心に聴講していました。
 最初に自治医科大学学長で社会保障審議会医療部会会長である永井良三氏が「臨床医学の多文化性」と題して基調講演を行い、医学の元は今から約2500年前の古代ギリシャの医師ヒポクラテスが患者に寄り添う医療、観察、衛生環境などを重視したことを宣誓した「ヒポクラテスの誓い」にまで遡ると指摘、これはいまも「医の原点」であると強調されました。
 そのうえで、「医療の効果にはばらつきがあり、よかれと思う医療が逆効果になることがある」ことから、理論よりも現実のデータを重視する医学が生まれ、推測統計学は基礎研究や臨床研究に大きなインパクトを与えたと説明、「データを正しく解釈するには科学や統計学を学ぶことが大切だ」と話しました。また、医学や科学には二面性があり、常に「よく生きるとは? 社会との連携とは? などを考える必要がある」と呼びかけました。
 続いて、パネルディスカッションを開催。コーディネーターである埼玉県立大学理事長の田中滋氏が登壇、5人のパネラーひとり一人を紹介して、それぞれ10分間ずつのプレゼンテーションを行いました。
 厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏は、今年は診療・介護・障害福祉の3報酬が同時改定されるとともに医療計画と介護保険事業(支援)計画も改定、そして国民健康保険の主体が自治体から都道府県へと移管、医学教育にも欧米で活躍できるように新コアカリキュラムが導入されるなど、医学界にとってまさに惑星直列の年となったと指摘、これからは「増収よりも増益に重点置いた取り組み」が必要だと述べました。
 日本病院会会長の相澤孝夫氏は「患者の急性期、回復期、慢性期という流れに応じて、適切な医療資源が投入されなければいけません。また訪問介護、リハビリを病院機能に受け入れていく必要があり、マネジメントを高いクオリティで行える人材の育成も急務となっています」と訴えかけました。
 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は「医療介護を受ける高齢者は増加、若い世代の働き手は減少という状況が続き、全国の介護医療の現場から介護職不足の悲鳴が上がっています。質を担保しながら、効率化を追求することは急務。官民一体となって取り組むことが必要」と呼びかけました。
 日本理学療法士協会会長の半田一登氏は医療介護の現場において「理学療法士の役割はとても大きいが、その一方で人材の確保は課題となっています。賃金や業務時間の改善についても、もっと進めていかなければいけない」と指摘しました。
 全国老人保健施設協会会長の東憲太郎氏は今回の介護報酬改定に言及して「介護老人保健施設の役割である在宅復帰の支援ができている施設ほど評価されるものになっている。各老健の努力により、増収増益を実現することで、人材の確保にもつなげていける」と評価しました。
 つづいて、田中理事長の司会で、5人によるパネルディスカッションが開かれ、医療制度や介護制度の改定とともに、プレゼンテーションでも多く言及された人材確保の課題について議論されました。
 最後に田中理事長は「人材不足の問題は介護職だけでなく、もっと広い視点で考える必要があります。超高齢化先進国である日本は、地域包括ケアシステムなどを駆使し、アジアだけでなく世界に先駆けたモデルとなっていかなければいけないでしょう」と締めくくりました。


自治医科大学学長 社会保障審議会医療部会会長
永井 良三様

厚生労働省 医務技監
鈴木 康裕様

日本病院会 会長
相澤 孝夫様

全日本病院協会長
猪口 雄二様

日本理学療法士協会会長
半田 一登様

埼玉県立大学 理事長
田中 滋様

全国老人保健施設協会 会長
東 憲太郎様

パネルディスカッション