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第10回高校生作文コンテスト表彰式

第10回「共に生きる社会」めざして 高校生作文コンテスト(主催・国際医療福祉大学、毎日新聞社、後援・文部科学省、全国高等学校長協会)の表彰式が11月30日、東京赤坂キャンパスで開かれました。「医療と福祉、わたしの体験」「未来のための今を生きる」「多様性を認め合う社会をめざして」の3つのテーマに全国から過去最多の2,640点の作品が寄せられました。

最優秀賞の東京都・桜美林高等学校1年、山本彩佳さんの「ありのままの自分で」はじめ個人賞、学校賞に表彰状などが贈られた後、個人賞の朗読が行われ、会場に詰め掛けた関係者や本学学生の喝采を受けていました。

最優秀賞以外の受賞者と個人賞の作品は次の通りです。
【優秀賞】
愛知県立安城高等学校3年、竹尾和佳菜さん「今の私にできること」
茨城県・江戸川学園取手高等学校1年、中西優奈さん「天然の白メッシュ」
【佳作】
東京都・白百合学園高等学校2年、岩谷歩実さん「善意か悪意か」
広島県・盈進高等学校2年、北原匠さん「私の命の役割」
【学校賞】
茨城県・江戸川学園取手高等学校▽東京都立国際高等学校▽東京都・女子学院高等学校▽山梨県・山梨英和高等学校▽静岡県立韮山高等学校▽大分県・大分東明高等学校▽福岡県・久留米信愛高等学校


・コンテストの詳細については、こちらからご覧になれます。

東京都桜美林高等学校1年 山本彩佳さん

愛知県立安城高等学校3年 竹尾和佳菜さん

茨城県江戸川学園取手高等学校1年 中西優奈さん

東京都白百合学園高等学校2年 岩谷歩実さん

広島県盈進高等学校2年 北原匠さん

表彰式に先立ち、本学の田中秀一医療福祉学部長、第5回佳作受賞者稲葉莉帆さん、第7回優秀賞受賞者高沼千晶さんと、コーディネーターの元村有希子毎日新聞社論説委員兼編集委員によるパネルディスカッション「私と医療福祉~作文コンテストをきっかけに~」が行われ、医療福祉の現状と将来などについて活発な議論が交わされました。

パネルディスカッション 私と医療福祉~作文コンテストをきっかけに~

◇登壇者
▽田中秀一さん 国際医療福祉大学医療福祉学部長
▽稲葉莉帆さん 浜松市保健師。第5回作文コンテストで佳作を受賞
▽高沼千晶さん 国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科3年。第7回作文コンテストで優秀賞を受賞
▽コーディネーター 元村有希子・毎日新聞論説委員兼編集委員

元村さん 稲葉さんはどうして保健師になったのですか。
稲葉さん 高校生のとき、保健師さんが祖母に保健指導をしているのを見て、憧れました。病気の予防にかかわる仕事が大事だと思ったからです。
元村さん 高沼さんが目指している言語聴覚士とはどういう仕事ですか。
高沼さん 話す、聞く、書く、読むなど言葉の問題のほかに、飲み込み、認知の問題について個人の特性を評価して訓練、支援をします。
元村さん 国際医療福祉大学の言語聴覚学科に入学したきっかけは。
高沼さん 私の弟には知的障害があり、幼いころから国際医療福祉大学大田原キャンパス(栃木県)内にある言語聴覚センターに通院していました。弟が楽しく訓練しながら成長していく姿を間近で見ていて、弟を担当してくれた先生のいる大学で勉強したいと思ったからです。
元村さん 私の父も手術後に飲み込めない・食べれない・喋れないという一時的な障害を負いました。けれども、毎日、言語聴覚士の方が口の体操などの指導をしてくれて、回復することができました。これは家族では、なかなかできない支援だと思いました。
田中学部長 これからの医療・福祉人材の役割は、少子高齢化が進み、ますます大切になっています。高齢者が増えることもそうですし、子どもを産み育てやすい社会、環境が求められているからです。この仕事にたずさわる人の役割は一層大きくなっています。
元村さん 作文コンテストの副賞で旅行したベトナムでは、どんな経験をしましたか。
高沼さん 病院を訪れると一つのベッドに2人寝ていたり、廊下にはみ出るくらいベッドが多かったり。理学療法士が作業療法も言語聴覚療法もしていて、海外の医療状況を知ることで日本の医療について考え直すきっかけになりました。
稲葉さん 当時の記憶はいまも鮮明です。日本では当然だと思っていたことが、そうではなかったり。こんなに自分の価値観が変わるんだと思いました。また、海外に行かないと日本の本当の姿が見えてこないということを教わり、物事の本質を知るためには外のことを知ってくらべることが必要だということを知りました。
田中学部長 国際医療福祉大学では海外保健福祉事情という授業でさまざまな国へ行く研修があります。オーストラリアでは看護師が患者さんの身体を持ち上げる必要がないなど、働いている人の健康を守る体制ができていることを知って学生が驚いていました。この科目は学科により必修だったり選択科目だったりしますが、ぜひ学生たちに行って欲しいと思いますね。
元村さん 最近、医療ツーリズムなど、医療のボーダーレス化が進んでいるように感じます。
田中学部長 来年4月、本学で6つ目の附属病院となる国際医療福祉大学成田病院が千葉県成田市に開院いたします。東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、今後、海外からの患者が確実に増えていくと思いますが、これからの病院は日本国内だけでなく海外からの患者さんに対応できるようになる必要があります。国際医療福祉大学成田病院は成田国際空港から近いこともあって、海外からの患者さんに対応できるようアジアを代表するハブ病院をめざしています。
元村さん 将来の目標は。
稲葉さん この人になら任せてみよう、話してみよう、聞いてみようと思ってもらえる保健師になりたいです。いずれは極めたい分野を見つけて、地域全体を動かせるような仕事をしてみたいと思っています。
高沼さん 患者さんだけでなく、家族のサポートもできる言語聴覚士を目指しています。それにはコミュニケーション能力が必要なので、ボランティア活動や学童保育でのアルバイトをしています。
田中学部長 患者本位、利用者本位の医療、福祉の実現を、といわれますが、簡単ではありません。患者や利用者に寄り添い、どう感じているのか、何を求めているのかを考え、知ろうとしなければなりません。医療、福祉にかかわる人には、さまざまな体験をし、人に会い、話を聞く経験を重ねてほしいです。
元村さん 作文コンテストのテーマ「共に生きる」について考え方を聞かせてください。
高沼さん 私はコンテストで受賞した作文に、差別や偏見のせいで生きづらいと書きました。差別や偏見の原因は、知識がないことだと思います。障害について正しい知識を持つことが大事だと思っています。
稲葉さん 家族観や障害についての考え方は人それぞれですが、なかには高齢者や障害者に対して非常に偏った考え方を持つ人もいます。真実を正しく知ることが大切だと考えています。


コーディネーター:元村有希子毎日新聞社論説委員兼編集委員

パネラーのみなさん。左から国際医療福祉大学 田中秀一医療福祉学部長、第5回佳作受賞者稲葉莉帆さん、同大保健医療学部言語聴覚学科3年、第7回優秀賞受賞者高沼千晶さん