12月11日(土)、東京赤坂キャンパスで市民公開講座「『ポスト・コロナ時代』と文明のゆくえ」が開催されました
12月11日(土)、今年度5回目の東京赤坂キャンパス市民公開講座を開催、本学大学院の木村伊量特任教授(元朝日新聞社代表取締役社長)が登壇しました。参加者数はおよそ130人で、コロナ禍以降定員を制限して行っている市民公開講座としては最多となりました。
「世界的なパンデミックである新型コロナウイルスの蔓延は、文明史的な問いをわたしたちに突きつけているのではないか」という主題のもと、木村特任教授の豊富な知識と経験に基づいた語り口に参加者は聞き入っていました。
第2次世界大戦以来のグローバル危機であるコロナ禍は、人々の暮らしや意識・行動を変えました。この危機を自分の国だけでは解決できない、という地球レベルの意識の広がりであるとの希望的な見方がある一方で、現実はというと、繰り返される政府によるロックダウン、緊急事態宣言、渡航規制など、「公衆衛生」最優先の名のもとに、個人の権利など、民主主義の基本原則がなおざりにされる危険がつきまといます。
感染症対策と統治の強化(行政権の拡大)は密接に結びつき、新型コロナの蔓延によって、世界は断固とした封じ込め策をとる専制的な「権威主義国家」をむしろ歓迎する方向に動いていて、民主主義は大きな曲がり角を迎えることになりかねないと、現代の識者や先人の言葉を用いながら指摘しました。
地球上の他の生物からみると今や並び立つものがいないほどひとり勝ちした人類=ホモ・サピエンスこそ、ウィルスにもまして地上で最も危険で狂暴な存在なのかもしれません。しかし、最先端の科学と医学をもってしても、人類が新型コロナウイルスを屈服させることはできず、虫一匹つくりだすこともできません。人類はけっして神にはなれないのです。コロナ禍でわたしたちが再認識したのは、奇跡の星である地球をひどく傷つけ、「万物の霊長」だとすべてのイキモノの頂点に君臨してきた人類の「ごう慢さ」(エゴイズム)ではないでしょうか。
最後に、細菌やウイルスは根絶すべき相手と捉えるのではなく、長い時間をかけ「共生」を目指すべきと説きました。 参加者からは、「今までの不安が、安心や希望に変わった」など、講演後のアンケートにも大変好意的なご意見をたくさんいただきました。
東京赤坂キャンパスの市民公開講座は今後も感染対策に万全を期しながら開催し、新型コロナウイルス関連だけではなく、高齢者の心身の健康など様々な課題を取り上げます。皆様のご参加をお待ちいたしております。
会場となったE棟講堂の様子 |
講演する木村伊量 特任教授1 |
講演する木村伊量 特任教授2 |
市民公開講座は、医療福祉の専門家が安心できる暮らしのヒントをわかりやすくお伝えする、一般の方向けの公開講座です。